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2020

〜巧より強たれ〜『誇り』平塚弘喜

 

一番になりたくて、ラクロス部に入った。

 

 


辞めたいと思ったことなど、一度もない。

 


 

入部したことやその後4年間、自分が選んできた選択に、取ってきた行動に




何一つとして後悔もない。

 

 


毎日を全力で駆け抜けてきた。




上手くなるために、強くなるために、勝つために。






一番になるために。

 

 

 

 




 

中途半端な人生だった。

 


 

昔から、一番になれなかった。

 

 


何か一つ極めている人のことをそれしかできない奴だと馬鹿にしていたけど、




内心そういう人に対する憧れがずっと自分の中であったから、

 

 


大学からでも一番を目指せる環境に身を置き、

 

 


本気でやれば俺でも一番になれることを証明したかった。

 

 


全て自分のために。

 


 

入部して以来、この想いがブレることはなく、

 

 


自分なりにひたすら愚直にラクロスと向き合ってきて、

 

 


素晴らしい経験をさせてもらった。

 


 

早稲田の名を背負い、絶対に負けられない早慶戦での地響きのような、割れるような歓声。

 


 

歴代の先輩方と日本の全学生の想いを背負い、日本一を懸けてFalconsと全日決勝で試合をするときの、緊張感と高揚感。

 

 


日の丸を背負い、異国の地でプレーするときの、誇らしさ。

 

 


これらの経験で見たもの、聴いたもの、感じたものはいずれも「普通」では決して得られない、




たまらなく最高で貴重なものだ。

 

 





 

だけど俺はそんなに強い人間ではない。「普通」の人間だ。

 


 

向き合うことに疲れ、一番になることを諦めようと何度思ったことか。

 


 

今日こそは楽をしようと何度考えたことか。

 

 


失敗や挫折なんて数えきれないほど経験してきた。

 

 


怪我だってなんやかんやで多かった。

 

 


上手くいかないこと悔しいこと辛いことの方が圧倒的に多い。

 


 

その度にそこから逃げようと、それをごまかそうとする弱い自分がいたけれど、

 


 

そっちの方が楽だってことは分かっていたけれど、

 

 


そんな時にいつも自分と向き合わせ、立ち直らせてくれたのは、




「周り」の存在だった。

 

 


時に厳しく時に優しく声をかけ、正しい道を示してくださる監督・コーチ陣。

 


 

「頼むぞ」と、自分のプレーに期待と信頼を寄せてくださった先輩方。

 

 


どんな環境でも試行錯誤しながら少しずつ、でも確かに成長していくDFの後輩たち。

 

 


ラクロスに100%で取り組める環境を整え、共に戦ってくれるスタッフ陣。

 

 


絶対に負けたくないと心の底から思う他大学のライバルたち。

 


 

勝つことで創られてきた、勝たなければならない、早稲田の伝統。

 


 

一番になれなかった、中途半端な昔の自分。

 

 



 


そして何より同期。

 


 

「こいつらなら日本一になってくれる」と言って、




大好きなラクロスのプレイヤーを辞めてチームの為に未来の早稲田の為に学生コーチへとなったやつ。

 


 

何度怪我しても体デカくなって這い上がってくるやつ。

 

 


フィジカルでやたらと競ってくる負けず嫌いなやつ。

 

 


後輩が新人戦で優勝した時に応援しながらも悔しくて泣いていたやつ。

 


 

どんなに体が痛かろうがテーピングぐるぐるに巻いてその熱いパッションでBを優勝へと導いたやつ。

 


 

これらの存在がいつだって自分を奮い立たせてくれた。強くしてくれた。

 


 

どれだけ原動力となり、自分の背中を押してくれただろう。

 


 

4年間を本気で過ごしたからこそ、ラクロスが与えてくれた、気付かせてくれた、

 


 

俺の誇りです。

 

 

 

 


 

早稲田という組織を通じ、そしてラクロスという競技を通じ、

 


 

かけがえのない様々なものに出会えた。

 


 

この4年間に後悔などあろうはずがない。

 


 

むしろ最高。死ぬまで周りに自慢しよ。孫には毎日言い聞かせよ。

 


 

唯一心残りがあるとすれば、2年の頃からずっと追いかけてきたFalconsに一度も勝てなかったことだけど、

 


 

それはきっと来年の早稲田が必ず、達成してくれるだろう。

 

 


想いを託すよ。頼んだぞ。

 


 

俺らの使命は明日の早慶戦勝って、強い早稲田の伝統を引き継ぐこと。




関東3連覇という新しい早稲田の歴史を創ること。

 


 

そして次の早稲田を担う後輩たちにプレーで、その背中で想いを伝えること。

 


 

だから後輩のみんなは瞬きすら惜しんでみててほしい。

 

 


明日の試合には周囲からの期待や重圧もある。緊張もするよな。

 


 

でもそれは本気でやってきた俺らだけが味わえる特権。

 


 

ありったけのもの背負って胸張って戦おうや。

 

 

 


 

 

DFメンバーへ

 


 

この一年、厳しいことを要求してきたかもしれない。

 


 

普通の大学になら絶対に言わない。でも、普通ではFalconsには絶対に勝てない。

 


 

俺はこのメンバーならできると信じていたし、

 

 


みんな渋そうな顔しながらもなんやかんやでやってくれたな。笑

 


 

中央戦、ビハインドだろうが接戦だろうが負ける気がしなかった。

 


 

上手くなった強くなったみんなが頼もしくて、今ならどこからでも誰からでも奪える。


 

 

最高に楽しい。

 

 


今年の早稲田のDFは強いとちらほら聞くけど、贔屓目なしで今年がナンバーワンだと思う。

 

 


明日もいつも通り失点なんて気にする必要ない。




その倍、奪い返して"強”を証明しよう。

 

 




 

奥さんへ

 

 


これまで長かったですね。

 


 

ウィンター、あすなろと勝つことができず、




奥さんがそのままコーチを続けているのはその責任を感じているからなんじゃないかと、




申し訳なく思っていました。

 


 

でもいつだって奥さんは純粋に勝負を楽しんでいましたね。

 


 

責任とかそんなのじゃなくて、




ただ俺らと勝ちたい、勝って喜びを分かち合いたいと思ってくれているのだと気付きました。

 

 


奥さんがいたから好き勝手やってこれました。感謝してもしきれません。

 

 


明日、必ず勝ちましょう。

 



 



 

最後に、




極度のSNS弱者で日体戦インスタライブに切り替わったことを知らぬまま二時間ずっとYouTube配信をテレビの前で待ち続け、




学習戦いくら止めても結局会場に来てフェンスよじ登って観戦してた(許してください)両親へ

 


 

幼いころからスポーツの楽しさを教えて頂き、




そしていつでも自分の意志を尊重して頂き、ありがとうございます。

 


 

最後戦ってきます。

 

 


 

 



 

明日は関東FINAL。相手は宿敵、慶應。

 


 

楽な試合にはならない。苦しい時間帯も必ずある。

 

 


それでも勝ちたいと、その想いが強い方が勝つだろう。

 


 

それはきっと俺らだ。

 


 

4年間待ちわびた初タイトル。やっと、だ。

 

 


何が何でも絶対獲るぞ。

 




俺らが


 

 


一番だ。

 

 

 








 

DF(#9)平塚弘喜


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