この4年間、誰よりも「巧より強たれ」を読んできた。
朝練習に行くのが辛い日も、
初めてスタメンで出る試合にワクワクした日も、
編成でB、Cチームに落ちた日も、
Aチームに上がった日も、
挙げればキリがないほど、先輩たちの「強たれ」を読んでは自分を鼓舞し、練習に向かっていた気がする。
それほどこの「強たれ」はラクロス人生のバイブルであり、原動力そのものだった。
それだからか、多くの文章を読み気付いたことがある。
それは、
どんなに良い結果を残した代でも必ず、最後に何か後悔を残していること。
だからラストイヤーである今年こそは、そんな後悔を１ミリでも減らそうと心に誓い
田中組最後のシーズンに挑んだ。
冬の長い長いオフを終え、いよいよ始まった選考練。
入れ替え組ではあったものの、Aチームとしてスタートした。
昨年、定着できなかった悔しさ
また先輩方からの期待に応えたい、という強い想いから
今年こそは絶対に活躍してやろう、という気概に満ち溢れていた。
1on1やグラボといった武器に磨きをかけ、
早慶戦ではあの憧れの日吉の地で、躍動するイメージまで出来ていた。
しかし、そうした理想も束の間
選考練からわずか1ヶ月余りで、Bに降格。
昨年と何も変わらない自分に、
なかなか思い通りにいかない現状に、
腹が立ち、時には不甲斐なさまで感じた。
そして春の六大戦も
伝統ある早慶戦も、自分が出ることのできない悔しさから
素直に応援なんかできなかった。
いやむしろ応援なんかしたくなかった。
本来自分が立つべき場所に、チームメイトが立ち喜怒哀楽を味わうあの瞬間を。
思えば1年生の頃からそうだった。
ウインター優勝の喜びも、あすなろ予選敗退の悔しさも
どこか本気で感じ、自分事として捉えることができなかった。
勝ったのに悔しい、まさに違和感そのものだった。
高校まで続けたサッカーでは１つ上や２つ上の先輩の試合まで出ていた分、初めて味わう感情だった。
でもこの気持ちが今の自分を形成しているように感じるし、ここまで成長できたと思う。
だから後輩の皆んなにはどんなにプレーが上手くいかなくても、試合に出れない日が続いても、
チームの勝利を素直に喜べなくても、
その違和感を原動力にして、この価値ある4年間を過ごしてほしい。
もちろん自分も引退するその日までAチームを目指し続けるし、他のロングの脅威となれるよう精進します。
そんな違和感をエネルギーに変え、少しでも上手くなろうともがき続けていたらもう、
あっという間にラストイヤーを迎えていた。
時の流れの早さを本当に身に沁みて感じるし、やはりそれだけラクロスに没頭してきたのだろう。
写真ホルダーを見返せば練習動画ばかりだし、壁あてやウエイトをしない日なんかは罪悪感すら感じてしまう。
でもこうした日々は、決して一人では成り立たない。
あり得ないほど恵まれた環境や仲間によってこそ彩られていたと感じる。
自分はチームスポーツなんか向いていないんじゃないか、と何度も思ったけれど
早稲田の伝統と誇りを背負い、絶対に負けられない闘いをしている仲間や
いくら編成に納得がいかなくても、狭いグラウンドで必死に頑張っている仲間。
ポジション転向を繰り返しながらも、最後まで組織に貢献し続けるかっこいい仲間や
何度怪我をしながらも、復帰するその日まで諦めない仲間。
そして未来の早稲田を想い育成に奮闘している仲間。
それに沢山お世話になってきたコーチ、監督
いつも傍で支えてくれたMG、TR、AS。
挙げればキリがないけど自分の周りには、こんなにも素晴らしい仲間がいることに気付かされた。
自然と多くのエネルギーをもらっていた。
そしてふと、
自分はチームスポーツが好きなのだと心の底から感じた。
だから例え苦しい時や辛い時でも、決して一人で戦っているわけではない。
ボックスや応援席、ライブ配信を見ている家族までも全員が味方。
学生スポーツの最後を、俺はこの仲間と一緒に駆け抜けたい。
やっぱり最後は勝って終わりたい。
もうユニフォームを着て、早稲田を背負って闘う試合は数える程度
残りの試合に全力で挑む。
明日は何気ない一つの試合かもしれないけど、
一つの勝利が田中組日本一に繋がっていると信じて闘う。
立教戦を終え、もう負けられない闘いが始まる。
これまで歩んできた軌を信じて、
また一歩踏み出そう。
俺たちはもっともっと強くなれる。
軌
DF ＃57 酒井太希
