「後悔ばかりのラクロス人生でした」
この前のB全学Final応援の時、凛さんと圭一さんにふと溢してしまった一言。
真心込めて面倒見てくれた2人に、こんなことを言うのはどうなのかと思った。
それでも、この1年間抱え続けた思いを、誰かに打ち明けたかった。
同じ学生コーチだったこの2人なら、きっと受け入れてくれると思った。
2月2日、学生コーチ決め。
みんなのラストイヤーに懸ける思いを初めて聞いた。
日本一で4年間の証明をしたい奴、みんなと少しでも長く最後までラクロスをしたい奴、今までの人達に恩返しをしたい奴。
未だに覚悟が決まらない自分とは大違いだった。
この時点で、もしかしたら自分が学生コーチになるのかもな、と悟った。
それでも、簡単には受け入れたくなかった。選手を続けたい気持ちを、諦めたくなかった。
留学とかで今までみんなと関わりきれなかった分、ラストイヤーはみんなともっと仲良くなって思い出を残したかったし、曲がりなりにも苦しみながらも部活を続けてきた自分が無意味になるような、否定されるような悲しさもあった。
何より、身体が弱いのにいつもサポートしてくれた母や、色んな面で応援してくれた父の期待を裏切ってしまうようで、悲しませしまうと思って、申し訳なかった。
だから、予想はしていたのに、決まった時は涙が溢れてしまった。
その瞬間は、早稲田ラクロスに絶望すら覚えた。
思えば、本当に情けないラクロス人生だった。
良かったのは1年生の本当に最初だけ。
サマーは殆ど出れず、ウインターは骨折を言い訳に何もしなかった。
あすなろもどこか他人事で見てるだけ。
メンツの少なすぎるCでラクロス部にいる意味を忘れ、BC合同ではミスを恐れて腐る。
厳しい体育会の空気が怖くなり、個人的な悩みや不安も重なって、どんどん思い詰めていった。
勝手にラクロス部のことを嫌いになり、極力ラクロス部のことを考えないようにしていた。
避けるようにしていた。
ほぼ毎日辞めた方がいいと思っていた。部活に入ったことすら、何度も後悔した。
それでも今更辞めたくなくて、何とか続けて逃げるように留学に行った。
留学先では精神的に前より落ち着けて、ラクロスを楽しむことが出来た。
帰国後のCチームは大変さもあったが、お世話になった先輩達とのラストランは楽しかった。
ラクロスが上手くなる楽しさ、ラクロスで繋がる楽しさを知り、少しだけラクロスと部が好きになり、持ち直したつもりだった。
そんな矢先の選手引退だった。
これから、どんな気持ちでラクロスに関わればいいのか分からなかった。
再び部活に絶望し、華々しい舞台でプレーする仲間達を、素直に応援できなかった。
応援に行くことすら辛かった。
フィールドで輝くみんな、楽しそうにラクロスをする姿を自分と比べ、強烈な未練と後悔に何度も苦しんだ。
1年生のみんなが入部し、みんなを教えていく時も、その後悔は強くなっていった。
今まで圧倒的になかったメンタリティーやラクロスの知識・スキルを、みんなに教えられるように頑張って学んでいくほどに、今更ラクロスを好きになっていく自分に気づいた。
ラクロスが好きになって、上手くなるほど、部活を楽しめるようになっていく自分にも気づいた。
遅すぎるその気づきに、過去の自分への悔しさが、どんどん膨らんでいった。
もっと最初からラクロスを楽しめば良かった。
もっとラクロス部の面白さに気づきたかった。
もっとウエイトを頑張っていれば良かった。
もっとよく考えるべきだった。
もっとコンディショニングをするべきだった。
もっと自分の我を出せば良かった。
もっと先輩後輩同期と関わればよかった。
もっとラクロスを知れば良かった。
もっとアドバイスを聞くべきだった。
もっと積極的になれば良かった。
もっと素直になるべきだった。
もっと怖がらずに挑戦すれば良かった。…
あげればキリがない。
後悔しないために挑戦したこの部活で、結局後悔をしている。
4年前と、何も変わっていない。情けなくて仕方がなかった。
こんな情けない自分が、この子達の未来を背負う立場で良いんだろうか。
50人超もの貴重な最後の学生生活を、4年間を、狂わせてしまうのではないか。
何度も自分を疑い、責任に押しつぶされそうだった。
それでも、自分を慕ってついてきてくれるみんなのためにも、自分のラストイヤーまでもが後悔で終わらないようにするためにも、自分に出来ることをしようと思った。
でも、強靭なメンタリティーも圧倒的な知識も、屈強なフィジカルもない。
そんな自分に出来ることは、みんなに自分の後悔をさせないことくらいだった。
だから、自分も選手になったつもりで、全力で一緒にラクロスをした。
基礎メニューでも何かプラスαの工夫をしてみたり、新しい技術を試してみたり、首振りを増やしてみたり、BUで一番乗りに飛び出してみたり。
ラクロスアカは部内で1番くらいうるさくした。(去年もかもだけど)
鶴見さんや秋山さんのオフェンス講座を全てメモした。
アフターも殆どいてショット打った。
この前はアフター1on1もした。
選手として終えるために育成に出場させて貰い、教え子と一緒にフィールドに立つ、なんていう前代未聞の挑戦もさせて貰った。
ラクロスを頑張って、後悔のないように挑戦して、上手くなって、みんなと沢山関わって、ラクロスとこの部活の楽しさとかっこよさと素晴らしさを知る。
そんな当たり前の、でも自分が気づけなかった当たり前に、みんなが気付けるよう。
後悔を糧に、自分自身が全力でラクロスを上手くなって楽しむ姿を見せられるよう、頑張った。
その姿で少しはみんなに何かを残せたらいいな、と思った。
だから、みんなの仲良さそうにしているところ、ぐんぐん上達していくところ、ラクロスを楽しそうにしているところ、ラクロスアカが動いているところ、自主練ウエイトを頑張るところ、優勝を目指して熱く全力になっているところ。そんな姿をみると、本当に嬉しかった。頑張って教えて良かったと思えた。
そんな日々を過ごしていたら、いつしか部活を再び好きになり始めていた。
あれだけ嫌がっていた部活を、引退することが悲しくなり始めた。
沢山の苦労の中の、色んな美しい思い出を、もう一度思い出すことができた。
1年生のみんなだけじゃなく、同期や後輩ともうすぐお別れすること、ラクロス部ではなくなることが、苦しく感じるようにすらなった。
嫌いなままでいれば、こんなに苦しむこともなかったのに、とも思ったが。
こんなふうに最期に思えたことが、どれだけ幸福なことだろうと思った。
「後悔ばかり」と言ったが、後悔だけなんかじゃなかった。
後悔ばかりの中に、気づかなかった沢山の幸せが、繋がりが、楽しさが、喜びがあった。
最期の最期になって、今になってやっと、ラクロス部に入ったことに後悔はなかったと言える。
それらを彩ってくれた先輩、同期、後輩、1年生のみんな、コーチ陣や関係者の方々には、感謝しかない。
ここで少しだけ、感謝を述べさせてください。
父・母
普段はあまり言わないけど、いつも支えてくれてありがとう。
オトンには、本当に負担かけたと思います。高校からの学費と留学、それに部活の費用など、何から何まで甘えっぱなしでした。それに本当に小さい時から色んなスポーツを経験させてくれたおかげで、今の自分があると思ってます。その度量の広さにも、最近気づきました。本当にかっこいいと思うし、尊敬してます。
オカンは、体が弱いのにいつも献身的なサポートをしてくれました。いつも体調がすぐれない中負担をかけてしまって本当に申し訳ない。少しでもオカンに負担をかけないよう、頑張ります。今までこれだけ健康に、大きく、穏やかに成長できたのも、オカンのおかげだと思ってます。
選手として2人の期待とサポートに応えてあげることが出来ず、本当に申し訳ない。
それでも、最後まで暖かく見守ってくれて、本当に感謝してます。ありがとう。
落ち着くまであともう少し、見守っていてください。
コーチの皆様
いつも本当にありがとうございます。
チームリーダーとして多く関わるようになり、社会人をこなしながらコーチしてくださる皆さんの凄さ、ありがたみに初めて気づきました。
残りあと少しの間、そしてこれからの1年生の子達をよろしくお願いします。
奥さん秋山さん鶴見さん
この1年間、本当にお世話になりました!
今まで逃げ続けてきたこんな頼りない自分に、時に優しく時に厳しく、何から何まで教えて頂き、本当にありがとうございます。
いつも支えられっぱなしだったと思います。
圧倒的なゲーム感覚でいつも的確なアドバイスを、グラウンド内外で瞬時にくれる奥さんは本当に頼りになり、コーチ以外のことにも色々と相談させて頂きました。
日本代表コーチであり、豪快で快活な秋山さんから学び、一緒にコーチをできたことは本当に嬉しく、尊敬していました。
鶴見さんには、膨大な知識量で、オフェンスのモーションからメニューの工夫まで、本当に色々な面で助けて頂きました。鶴見さんなしでは今のオフェンスはあり得なかったと思いますし、何より鶴見さんのキャラクターもあり、一緒にラクロスをしていて本当に楽しかったです。
みなさん、本当にお世話になりました。明日は絶対勝って笑いましょう。
先輩方へ
こんな弱くて変わった自分に、沢山関わって仲良くしてくれて、本当にありがとうございました!
名前漏れがあると良くないので名前は割愛しますが、BC合同やCで部活動の目的を失っていたときも、みなさんが仲良くしてくれたことは楽しい思い出として自分の中に残っています。
3,4年生になって色々と悩んだ時も、相談させていただいたり、話を聞いていただいたり、引退後も支えていただいて、本当に感謝しています。
これからも、沢山後輩をさせてください!
後輩へ
所属していたチーム柄、みんなと一緒にプレーすることが多かったと思います。
こんな先輩らしさもない自分を受け入れてくれて嬉しかったし、後輩とは思えないような絡みしてくる奴や、逆にめっちゃ良い子なやつとか色々いたけど、その分近しく感じられて楽しかったです!
相談あったら乗るので、声かけて!
来年以降の1年生のみんなを頼みます。
スタッフの皆さん
コーチ業を通して初めて、スタッフの大変さを知りました。
自分たちがプレーで歓声を浴びるわけでもなく、また時には選手から色んな指摘とかもあって、それでもサポートし続ける。本当に大変な仕事だと思います。
正直自分は出来ないと思います。
それでもいつも明るく振る舞うスタッフの皆さんには、本当に尊敬しています。
色々とやんちゃなところもある1年生もいますが、来年以降も可愛がってあげて欲しいです。
いつもありがとう!
りずむちゃん1年間一年渉外ありがとう!しごできで尊敬してます!
同期のみんな
こんな変わった自分を受け入れてくれて、ありがとう。
体育会の空気に慣れる前は、遠慮してあまり自分らしくみんなと関われなかった気がする。申し訳ない。
留学とかもあった分、プレシーズンから最近にかけて仲良くなれてきている気がして嬉しいです。
ラクロス内の関わりはもちろん、帰りの車とか、弱者会とか、西東京会とか、Redbatsゴルフ部(入部予定)とか、そういう些細な楽しさを、これからも見つけていけると嬉しいです。
まだまだもっと仲良くなるつもりなのでよろしく!
地元や高校・大学の友人達
すぐ悩むしすぐ落ちこむしすぐ相談で呼び出すこんな自分に、いつも嫌な顔せず付き合ってくれて、ありがとう。
最後まで部活を続けられたのは、絶対にみんなのおかげでもあります。
また一緒に遊ぼう!
1年生のみんなへ
1年間、こんな頼りない自分についてきてくれてありがとう!
最期に、こんな前向きな気持ちでラクロス部に向き合えたのも、みんなのおかげだと思います。
本当に色んなやつがいて、人が多い分大変なところもあったけど、その分可愛らしくて、なんだか友達のような先輩のような親のような気持ちになりました。
みんなのおかげで、学生コーチを務めて良かったと心から思えました。本当にありがとう!
すごすぎる双子の奴ら、有望なレフティーズ、仲良さそうなFOer達、何考えてるのかよく分からないけど頑張る奴ら、シンプルめっちゃいい奴ら、変なあだ名つけてくる奴ら、競争もあり仲良くもあるゴーリーズ、シンプルやばい奴ら、「来年も」とか可愛らしいこと言う奴ら、脳筋なやつら、将来が有望すぎる奴ら、頑張り屋さんな奴ら、実は熱い奴ら、リハでも踏ん張ってる奴ら、もはや俺が支えられた奴ら、仲良さそうなスタッフ陣。
これからのみんなが本当に楽しみなのと同時に、この1年でお別れなのが本当に心苦しい、寂しいです。
でも、別れがあるから出会いは美しい。
明日はチーム全員の全力で、優勝という最高のグランドフィナーレで、この1年間を証明しよう。
本気のラクロスを楽しみ、勝って笑おう。
柴谷へ
気づけばもう7年目の付き合い。
高校の時は何となく仲良くなれるかなーと思っていたのが、まさかこんなところまで一緒になるとは思わなかった。
授業も飯も一緒だったな。留学先でも会ったな。冬オフは何故か一緒に1on1もしたな。釣りも行ったな。
コーチ業では、俺が頼りないばかりに、本当に色々と負担をかけたと思う。申し訳ない。
いつまでも落ち込んでたり、強く言うことが出来なかったり、意志が弱かったり。
挙げ句の果てには俺が一緒にプレーするもんだから、運営とか本当に大変だったと思う。
すまん。
けど、相方が柴谷で本当に良かったと思う。
俺のことを理解してプレイングコーチでいさせてくれたり、優柔不断な俺の代わりにズバッと決めてくれたり、俺の気持ちを汲んでαを見させてくれたり。
あげればキリがないけど、色々と思いやってくれたんだと思う。
柴谷なしじゃ、このチームはこんなに強くはならなかった。
本当にありがとう。
最近は俺のキャラクターを完全に受け入れてくれて嬉しい。
全然もともとのタイプは違うけど、尊敬しているし、ここまで一緒に頑張ってくれて仲良くなれたことを誇りに思う。
ありがとう。これからも、引退した先も、仲良くしてくれたら嬉しい。
まずは明日、証明しよう。俺たちの1年間を。
長くなってしまったが、最後に。自分含め、みんなに何を伝えたかったのか。なぜ「後悔」なのか。
ぜひ苦しい時、辛い時に見返しにきて欲しい。自分への戒めでもあるから。
1つ目。みんなには、出来るだけ後悔はしてほしくない。
やはり後悔は苦しい。辛い。痛い。
変えることのできない過去に苛まれ、逃れようもない。
こんなにも辛いことはなかなか無い。
だから仮にもし、きつい瞬間や苦しい瞬間が訪れたり、失敗が怖くて進めなくなっても、あともう一歩を踏み出して欲しい。
ここで挑まなかったら、きっと未来の自分が後悔する。
なんであの時やらなかったんだときっと悔やむ。
そんな後悔が少しでも無くなるように。
こんな頑張り方は苦しいかもしれない。辛いかもしれない。
それでも、もう何も変えられなくなってから、全てが遅くなってから後悔するより、絶対にいい。
きっとここで逃げたら後悔する。
だから苦しい時のもう一歩、を頑張ろう。
悔いのないように。
2つ目。後悔を受け入れること。
先輩の強たれにもあった通り、どんな実績を残した代にも必ず後悔はあるし、どれだけの結果を残しても、それ以上のベターは存在する。
後悔をして欲しくないと言った手前、矛盾するような気もするが、後悔から完全に逃れることは出来ない。
だからこそ、その後悔には、向き合って、受け入れて欲しい。
ああすればよかった、なぜこうしなかったんだ。
その後悔は、確かに苦しい。痛い。もう逃れたいと思う。
でも、
その後悔はきっと自分を強くしてくれる。
悔しいから、次は悔しい思いをしないように頑張る。
もう悔しい思いをしないように、うまくいかない時も頑張る。
やらずに後悔をしたから、次は絶対に挑戦する。
その苦しみは、後悔は、痛みは、自分が戦っている証拠。
出来ないことをしているから苦しいし、頑張ってるから悔しいし、戦っているから痛い。
その苦しみが、悔しさが、痛みが、少しずつ自分を強くする。
きっと今よりも、少し大きくなれる。
努力の末に得たものが苦しみのように思えたとしても、それは無意味なんかじゃない。
だからその苦しみを、後悔を、恐れずに自分らしく挑戦し続けよう。
きっとそれが、未来の自分に繋がるから。
ウインター決勝。
泣いても笑っても、1年生チーム最期の日。
みんな、本当に強くなった。上手くなった。大きくなった。
そんなみんなが俺は本当に誇らしい。
色々な感情、時間を、努力をかけて完成したこの最高のチーム。
全ての相手を圧倒し、最期のホイッスルで、みんなでグラウンドに駆け込む瞬間が楽しみでたまらない。
今までの努力が、苦しみが、悔しさが、この一瞬で全て報われる。
そんな人生を変えるような、一生の宝のような、最高の瞬間になるだろう。
アップ、声出し、グラボ、1on1、セーブ、ボックスワーク、スタッフワーク。
後悔のないよう、その瞬間の自分に出来ることを。最初から最期まで全力で。
さあ準備は出来ているか。
全てにおいて相手を圧倒するイメージは持ったか。
誰よりも、どこよりも頑張ってきた俺たちの1年間を。
優勝して、俺たちの手で証明しよう。
俺達の、未来の日本一へ、狼煙をあげよう。
俺達こそが、最強だ。
全ての後悔と過去を背負って
未来を信じ
闘う
いざ、強たれ
VECTOR
学生コーチ (#82) 山﨑文也

