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2017

〜巧より強たれ〜 『集大成』髙杉昂生




4-11。





無様だった。







飛んでくるシュートは為す術もなく自分をすり抜けネットを揺らす。







「お前のせいじゃない。」







そう言われるのが何よりもキツかった。







何も出来ずに先輩達を負けさせてしまった去年のFINAL4。







「ゴールキーパーの"英雄"と"役立たず"は紙一重」







あるサッカー選手の言葉。







このポジションは、なんとも分かりやすい世界にある。






大きな舞台であればこそ、それはより顕著に現れる。







そしてあの試合では、自分はまさに"役立たず"でしかなかった。








昔から分かっている。




自分は別に優秀な選手じゃない。




特別な能力や強みがある選手じゃない。




いつも大きい試合になれば嫌というほど痛感する。







「器用貧乏」






自分にぴったりの言葉だと思う。




昔から人に比べて秀でてる事なんてなにもない。




才能や特技もない。




そこそこ人並みにこなせるだけ。








そもそもスポーツに恵まれていない。






GKをやっていた時も、身体能力の無さに苦しんだ。








ラクロスでもそう。






足が速くもないし、ガタイも良くない。






反射神経もよくないし、高度な戦術理解力もない。







Gとしては平凡。







それでも試合に出たくて、勝ちたくて、日本一になりたくて、







自分にしか出来ない事を探してきた。







グラボに寄るとか、パスカットを狙うとか、DFのカバーをするとか、







Gとしてプレーの幅を広げようとチャレンジしてきた。







それが認められて今ここにいる。






こうしてAチームで使ってもらってきた。







本当に恵まれている。






多分他大じゃ使ってもらえてない。



(余計な事するなと言われそうだ。)







だから、試合に出れる感謝を込めて戦う。







こんな自分を応援してくれる、







ゴールマウスを任せてもらえる、







その責任を果たさなければいけない。







自分ならではのプレーで、チームの勝利に貢献する。







この組織にいて自分が出来る事は、それしかない。







カタチは違えど、14年ゴールを守ってきた。







ずっとゴールを背負って戦ってきた。







その全てをぶつけ、戦い抜く。







もうあんな悔しい思いをしない為に。








自分はスーパースターではない。







"英雄"には、なれないかもしれない。







だが、この日本一アツい奴らがいるチームを勝たせる、その一端を担う選手でいよう。







日本一アツい奴らと、日本一の景色を見よう。







このチームで日本一になる。







もう、"役立たず"ではいられない。








スポーツの世界に身を置いてから、ずっと憧れた光景。








その瞬間が見たい。




その感動をみんなと共有したい。






こんな所で立ち止まるわけにはいかない。







目標は、もっと先。







FALCONSを倒すのは、俺達だ。







日本一のチームになるのは、早稲田だ。








CHANGE




G  #8 


髙杉昂生


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