はじめに。
お疲れ様です。圧倒的主人公兼、元ゲイの山田伊織です。
強たれといえば、家族、仲間、コーチへの感謝を伝えるのが定番なのは重々承知しています。
ただ、考えていることを言語化する能力が著しく低い自分にしては、今回珍しくかなり簡潔に、伝わりやすくまとまった気がします。ここから感謝コーナーを追加すると、せっかくの奇跡が台無しになりそうなので今回は後に取っておこうと思います。
感謝しきれないくらい、本当に感謝しています。
本当です。
それでは。
俺は、自分の得点シーンを見るのが好きだ。
暇さえあれば試合のアーカイブを見返す。
画面録画した自分の動画をスローで何回も再生する。
自分がシュートを決めたシーンなんて、何度見たか分からない。
こう書くと、相当自分のことが好きなやつみたいだ。
それでいうとそうかもしれない。
というかそうだ。
でも、多分俺が見ているのは自分だけではない。
得点が決まった瞬間、スタンドで応援してくれている仲間が両手を挙げて喜ぶ。
音割れして何を言っているのか分からないくらい実況が叫ぶ。
スタッフのみんなが飛び跳ねて喜ぶ。
仲間たちがサイドラインを越えてグラウンドまで飛び出してくる。
そして、チームメイトが自分のところに駆け寄ってくる。
気づけばいつも、自分が決めたシーンと同じくらい、いや、それ以上にみんなが喜んでいる姿を何度も再生している。
俺は、自分が点を取った瞬間より、そんな「得点のその後」を見るのが好きだ。
思い返せば、一年生の頃からそうだったのかもしれない。
一年生のウィンター、中央戦。サドンデスでランシューを決めた。
正直、あのとき自分がどんなシュートを打ったのかは、もうそんなに覚えていない。
でも、その後の景色は今でも鮮明に覚えている。
逆コートからみんなが駆け寄ってきたこと。
ボックスで仲間たちがバカみたいにはしゃいでいたこと。
たまらなく気持ちよかった。
あの景色を、もう一度見たい。
何度でも、この身で感じたい。
だから俺は練習する。
毎朝 4 時(通算二回失敗)に起きる。
壁当てをする。
筋トレをする。
自分しか見られないインスタアカウントを作って毎日練習の切り抜きをあげまくる。
……と言うと、なんだかすごく綺麗な話に聞こえる。
別に毎朝「みんなを笑顔にするぞ」と思いながら 4 時に起きているわけではない。
そんな綺麗な人間ではない。
1 分でも長く試合に出たい。
憧れの永岡さんみたいになりたい。
山田伊織ってクソ上手くね?と思わせたい。
そういう自分のための欲もめちゃくちゃある。
自分に自信もある。
その分、思い通りにいかないと自分の弱さを出してしまうこともある。
練習中に雰囲気を悪くしてしまうこともあるし、後輩たちを怖がらせてしまっている自覚もある。
だから、自分を犠牲にしてチームのために頑張ってきた、なんてことを言うつもりはない。
それでも、4 年間を振り返ったとき、一番嬉しかった瞬間は何だったのかと考えると、そこには誰かの喜ぶ姿が必ずある。
2025 年 7 月、去年の獨協戦。途中出場、与えられたのは 3 分間の出場時間だった。
その中で、のっさんのブレイクから、ランシューを決めることができた。
最高だった。
そして試合終了後、更衣室でオガケンに言われた。
「お前をボックスに入れてよかった」
得点を決めたときなんかとは比べ物にならないくらい、めちゃくちゃ嬉しかった。
オガケンに認めてもらえたから。
チームの勝利につながったと実感できたから。
でも、何より一番嬉しかったのは、自分のプレーで誰かが喜んでくれたことだった。
オガケンが喜んで、海里さんが喜んで、キャプテンが喜んで、同期が喜んで、スタンドで応援してくれていた仲間たちが喜んで、親も喜んでくれた。
一年生のウィンターで感じた、あの何とも言えない気持ちよさ。
あのときはまだ、それが何なのか分かっていなかった。
でも、獨協戦を終えたとき、それが確信に変わった。
俺は、自分の活躍で誰かが笑う瞬間が何よりも好きだ。
点を取りたい。
活躍したい。
勝ちたい。
そして何より、その先でみんなが喜んでいる姿を見たい。
だから、また練習する。
さらに上手くなる。
点をとってチームを勝たせる。
誰かが喜んでくれることが、俺自身の原動力だから。
いよいよ明日、リーグ戦第三戦、慶應戦を迎える。
今年の俺たちはめっちゃ強い。
自信持っていきましょう。
そして明日もいつも通り勝とう。試合中秋山がちょけなければ勝てる。
楽な試合にはならないかもしれない。
苦しい時間もきっとある。
それでも、最後まで全力で戦おう。
点を取る。ゴールを守る。
勝つ。
そして、その先にあるあの光景を、また見にいく。
俺は明日、あなたを笑顔にするために戦います。
いざ、強たれ。
AT #0 山田伊織

