痛み止めを飲んでテーピングを目一杯強く巻いた。
でも、足は進まなかった。
3年間憧れ続けた早慶戦。
4年生になって漸く辿り着いたその舞台直前の事だった。
復帰まで半年、辞めようかとも思った。
それでも辞めなかったのは、やっと素直に自分と向き合えたからだと思う。
思えば怪我ばかりの4年間だった。
でもその怪我を言い訳にラクロスと向き合うことから逃げてきた。
早慶戦に出れなかったのは肋骨が折れた所為だ
リーグ戦に出れなかったのは靭帯を損傷した所為だ
でも怪我さえ治れば直ぐに活躍できるはず。
そんな下らない言い訳をしていた。
自分でもわかっていたはずなのに、学年が上がるごとに同期や後輩に追い抜かれていったのは怪我のせいじゃない。
才能がある奴なんていなくて、活躍している奴らは本気でラクロスに向き合って本気で努力している。
自分に才能なんてない。
そんな当たり前のことを認めたのはもうプレーができない状態になった後だった。
でも学生生活を捧げた4年間が無駄な時間だったなんて思っていない。
コーチや先輩方に教わり、同期と切磋琢磨して自分なりに努力して成長してきたこの経験を次の世代に伝えることが自分の役目だと本気で思えた。
もう一度ラクロスと向き合いたいと本気で思えた。だから学生コーチになった。
正直言って指導なんてできるのか滅茶苦茶不安だった。
何より後輩があんまり得意じゃない。
でも俺の話を真剣に聞いて毎回質問に来てくれる奴、
俺の下らないノリに付き合ってくれる奴、
闘志がないじゃないかって不安になるくらい良い奴ばっかりで、
そんな1年生達といるのが楽しかった。
偉そうなことばっかり言ってたけど、みんな俺の何倍も壁当てしてるしウェイトしてる。
小さなプレーにもとことん真剣で、どんどん成長していく姿を見て俺も成長できた。
同期や後輩たちにも本当にお世話になった。
オフ返上で1年生を教えに来てくれたり、
審判をしにわざわざ蘇我まで来てくれたり、
いろんな相談に乗ってくれたり、
挙げたらきりがないし感謝してもしきれない。
プレイヤーをやめた後も何かと気にかけてくださったコーチ陣、
そしてコーチとしてわからないことだらけの自分に一から教えてくださった小菅さん。
この半年の間に早稲田ラクロスという一つのチームの力を実感し、このチームに所属することができて本当に良かったと思えた。
本当に感謝しています。これからもよろしくお願いします。
一輝と慎次へ
キックオフ時点で覚悟を決めていたお前らが急に入ってきた俺を受け入れてくれたことが励みになりました。
どんな奴にも長所を見出して粘り強く教えていく姿勢は俺には真似できないことだと思う。
優しすぎるとかも言われてたけどその優しさに俺も1年生も何度も救われました。
ありがとう。
明日はついにサマーステージ。
たかが新人戦、されど新人戦。
サマー優勝の波はきっと全日優勝へと届くはず。
みんな強くなった。あとは自分と仲間の半年間を信じるだけ。
宮野組の、未来の早稲田の初陣を優勝で飾ろう。
WAVE
学生コーチ(#18) 戸田光俊