ラクロス部でなら日本一になれる。
そう思い、ラクロス部に入部した。
しかし、現実は甘くなかった。
強いと思っていた先輩たちは、日本一に手が届かず、引退となった。
Final4の壁を破ることができなかった。
何かが足りなかった。
今年こそは、必ず日本一になる。
そう意気込んで、シーズンをスタートさせた。
シーズン初めのAチームは、下級生が多く
田中組のDFの応用をやりたくても、難易度は高かった。
下級生主体の状態から
どうすれば強固なDFになるのか。
頭を悩ませて出た結論は、
とにかく多くの人を育成することだった。
そのために、多くの施策を考え、実行した。
バディ制を作り、育成の仕組みを整えた。
ABCで戦術を統一して、入れ替えがあってもすぐ馴染めるようにした。
六大学戦では出場時間をできるだけ均等にして、みんなが経験を積めるようにした。
代表練で学んだことは、全部DFに共有したし、練習メニューも課題に合わせて、何度も作り変えた。
成果は出た。
六大学戦優勝。
しかし、いい感じだと思った矢先
早慶戦で大敗した。
まだ何かが足りなかった。
技術や戦術の前に、もっと大事なものがある。
「試合に勝つためのマインドセットが身についていない」
と丈武さんにアドバイスを頂いた。
マインドセットってなんだ
ろう。
マインドセットとは、心構え、プレー中の思考・考え方の習慣、何のためにプレーするのかである。
分かったつもりになっていたが、全然理解できていなかった。
ようやく分かったのは、4年の9月のある練習試合がきっかけだった。
社会人との練習試合で、強度の意味をはき違え、ラフプレーを繰り返してしまった。
感情をコントロールできなかった。
強い相手にチームで勝つことを諦め、
個人で勝とうとするプレーに走ってしまった。
幹部であるにもかかわらず、最初から、チームの勝ちを信じていなかった。
あるべきマインドセットは、いかなる状況でもチームのために、今の自分に集中し、自分のするべきことをすること。
「今・ここ・自分」に集中すること。
ようやく腑に落ちた。
このマインドセットをマスターできれば、いかなる状況においてもチームの実力を100%出すことができる。
どんな想定外のことが起きても、するべきことをすれば勝ちを引き寄せることができる。
野澤組は強くなった。
ここ数年乗り越えられなかった関東Final4も勝つことができた。
しかし、
関東Finalで明学に負けてしまった。
実力不足だった。
まだまだ俺たちは強くなれるし、うまくなれる。
そう思った。
この1か月で
ボールを奪う手段を増やした。
グラボをより早く拾えるようになった。
FFOFにより磨きをかけた。
皆で考え抜き、実践を想定した練習をしてきた。
下級生の発言も増え、ミーティングの質も向上した。
皆はとても成長した。
だけど、ここで満足してはいけない。
もっともっとうまくなれる。
確信している。
最高の仲間ともっとラクロスがしたい。
全学優勝の喜びを皆と共に分かち合いたい。
話はかわるが、強度ってなんだろう。
ここ数年の早稲田は、当たりの強さだと認識してきた。
だから、強度を上げようとすると、ファールが多くなった。
自分も数えきれないほどのフラッグを飛ばされた。
感情任せに、棒を振り回してきた。
9月の練習試合をきかっけに、大反省をし、ファールの数は格段に減った。
しかし、強度の意味が分からなくなった。
感情に蓋をすることで、自らをコントロールし、接触することを避けた。
弱い自分を出さないようにしてきた。
ファールの数は減った。
しかし、自分らしさが消えた。
1on1が強みであるのにも関わらず、1on1を避けるようになった。
チームのバランスを取る役割を担い、1on1は他のチームメイトに任せるようになった。
パッとしない選手になってしまっていた。
そんな中、先週の代表活動中、あるコーチに強度の意味を尋ねてみた。
強度とは、
「サボらないこと、運動量、クロスで触り続けることだ」
とおっしゃっていた。
プッシュやチェックの強さをあげることではない。
状況に応じて適切な距離でマークマンをみること。
良い1on1のために、良い張り出しをすること。
相手のプレーを制限できるよう、クロスで触り続けること。
オンボールだけでなく、オフボールにも強度はある。
強度にも色々な視点があることに気づかされた。
強度において大切なのは、
感情をコントロールしたうえで、サボることなく、適切な強度で、粘り強くプレーすること。
自分らしさを取り戻すきっかけとなった。
スポーツ歴16年目にして、強度について自分なりに理解できた気がする。
ラクロスは、とても深いし、難しい。
今シーズンだけでも多くのことを学んだ。
だけど、
まだまだ何かが足りない。
代表に選ばれた今でも分からないことだらけだ。
田中組のDFの応用もまだ完成していない。
後輩たちには、自分なりに考え抜いてラクロスから多くのことを学んでほしい。そして、自分たちの手で最強のチームを作り上げて欲しい。
嶋田監督がシーズン初めに、全体MTGで仰っていたことを覚えているだろうか?
「野澤組を前人未到の全学三連覇への第一歩にする」
本気で成し遂げたいと強く思った。
全学三連覇した先には、何があるのだろう。
考えただけでワクワクする。
後輩たちが、最高の景色を見られるよう
何としてでも全学優勝しようじゃないか。
野澤組がその一歩になろうじゃないか。
さて、明日は全学準決勝。
準備はできている。
相手がどうとか関係ない。試合展開がどうとか関係ない。
今するべきことをすれば、結果はついてくる。
仲間を信じ、己を信じよう。
俺らなら大丈夫。
皆の想いを背負って
いつも通りに。
Vector
DF#2 中原健太

