はじめに。
どんなに削っても、やっぱり長い文章になってしまった。
最後まで読んでもらえたら、それだけで嬉しいです。
後輩たち、
まず伝えたいことは、
今いるみんなは勝ってる早稲田しか知らないと思うけど、それはとてつもなく怖い事でもあるということ。
強いことは当たり前じゃない。
勝負の世界にいる厳しさや恐ろしさも知っていて欲しい。
あとは、それも含めて楽しいということも感じていて欲しい。
そしてそんな勝負の世界では、やっぱり勝つことが1番大きい。
今年ちょっとでもAにいた人は試合や練習を通じて分かってくれてたらいいと思う。
それを次のチーム作りに活かして欲しい。
だけどそんな中で、勝つこと以外にも大切なことがもちろんあるということも、ラクロス部の生活で知った。
俺の巧より強たれは、それについて書こうと思う――
「主人公」
物語のメインとなる人物のこと。
これは、なんでもないヤツが何者かになろうともがいた話。
野球を続けることを諦めた大学生活だった。
それでも、何かに4年間をかけてとことん打ち込んで
大学生活を自分の心に強く残したい、自信になる経験を学生生活の最後にしたいと思ってラクロス部に入部した。
俺は1年生の時、当時の主将に憧れた。
今年からAでOFコーチをして下さっている秋山さんだ。
完璧人間だと思った。全てがカッコよかった。
「目の前の人を、自分の人生の主人公にしなさい。」
1年生の12月。その年を締めくくる納会で、秋山さんが言った言葉だ。
ゼミの先生の言葉だそうだが、俺の頭には「?」が浮かんだ。
言葉の意味はよく分からなかった。
自分の人生の主人公は自分だ。
ずっとそう思っていたし、そう思えたから野球だってラクロスだって何度も頑張れた。
ウィンターでAT序列最下位なんていう状況すらも、主人公ならここから上がっていくと信じていた。
いつかはAのスタメンで出て、活躍して日本一になる。
ずっとそう思って頑張っていた。
そうしたら少しづつ上手くなって、Aで点が取れるようになった。
スタメンにも選んで貰えるようになった。
やっぱり自分の人生の主人公は自分なんだと思った。
それでも、秋山さんの言葉はずっと頭から離れなかった。
けれどそんな考えはある時、変わった。
去年の関東FINAL4。サドンビクトリーで自分が決勝ゴールを決めた瞬間だった。
自分が1番目立つあの瞬間に、
一生の思い出に残るあの瞬間に、
気づいた。
こんなに自分がカッコイイ瞬間は他に無いはずなのに、不思議と周りに意識が行く。
自分以上に喜んでくれるAチームのみんながいる。
去年のMGリーダーが泣いて喜んでくれている。
足がつっていたことを叱ってくれて、もう次の試合を見据えているコーチがいる。
スタンドには、声が千切れそうになっている先輩が、同期が、後輩が、OB、OGの方々がいて、最強の味方の応援部がいる。
すぐそばには悔しがる中央大の選手がいる。
点を取って活躍するために、自分に自信を持つために、
コツコツ積み重ねてきた結果に違いないその1本のシュートは、
自分のために取った点だとは、思えなかった。
ふと、秋山さんの言葉が蘇る。
「目の前の人を、自分の人生の主人公にしなさい。」
この人にはどう写っていたのだろう、あの人にはどう写っていたのだろう。
あのゴールは、全ての人のためのゴールだったように思えた。
その日は誰かの人生のたった1ページの出来事で、
ちょっと大きなイベントに自分がスポットライトを浴びる位置で登場しただけなんだと思った。
もう、俺の1点は自分のための1点じゃ無くなった。
誰かのための1点になった。
誰かのために頑張るようになった。
その日から、
「目の前の人が、自分の人生の主人公」になったのだった。
この難しい言葉の意味は、俺なりに学び、俺なりに悩んで考えたものだ。
だから、正直今でも絶対的な定義は無いし、本来の意味が何かは思い出せないけれど、そんなことは関係ない。
ラクロスをしている時は、
自分に最高のアシストをしてくれる人がいたり、
自分からのフィードをもらう最高のポジション取りをする人がいたり、
目の前には最高のライバルがいたりする。
その人の人生で1番のフィードを受け取る。
1番のゴールを演出する。
1番熱い1on1の勝負をする。
仲間からしても敵からしても、最高の登場人物になるために頑張るようになった。(結果はどうであれ。)
だから、
日体戦の1QのFFOFで奈須にアシスト出来ずに確率の低いシュートを打って外した時、
学習院戦の4Qで稲富からのフィードを決められなかった時、
同じく4QのFFOFで竹田にアシスト出来ずに別の人にパス出してミスった時は、
めちゃくちゃ悔しかった。ごめん。
そして、ラクロスをしている時以外は、
その人が主役の人生に少しでもインパクトのある登場人物になれたらいいと思うようになった。
もちろん、インパクトがあれば何でもいい訳じゃなく、
自分の想いを乗せたうえで。(ここ重要。これが無いとただ相手に依存してしまうだけ。)
今年、副将そしてATリーダーとなり、色んな人にオフェンスを教え、褒め、注意した。
ラクロス以外の面で思い切り怒った事もあった。
主人公が頑張っている時、そばには最高の味方がいる。
主人公が辛い時、支えてあげる仲間がいる。
主人公が間違った時、全力で怒る人がいる。
主人公が立ち向かって来る時、全力で戦う相手がいる。
主人公の目線から見て、ウザいって思うヤツがいる。でも大抵そいつも正しくて、最後は分かり合える。
そんな1人になるために1年間頑張って来たと思う。
別にそんなカッコいい風に思ってくれとは言わない。
違うなら違うと思っていい。反面教師にしてくれたら、それもそれでいい。
少しでもそうなれるように目指していたけど、卑下してしまうくらい何が正解だったかは今でも分からない。
それでももし、誰かの人生の大事な1ページになってくれていたら
それでいいんだと思う。
後輩たちへ、
本当にこの1年で沢山成長したと思う。
A、B、Cチームそれぞれで何度も力を貸してくれました。ありがとう。
特に今年はコロナがあって今までより考える時間の長い1年間だったと思う。コロナはきっともうちょっと続くけど。
でも、考えた分間違いなく成長している。
Aのメンバーはいつも見てるから言うまでも無い。本当に頼もしい。
そしてB、C、1年生。
練習を見た時に本当に驚く。
見違えるほど上手くなってるヤツがいる。
スタッフのみんなだってそう。
3年生はもう4年生みたいに信頼出来るし、2年生の成長スピードは本当に凄い。
ついこの間までオドオドして審判してたのが、少しづつ堂々と吹けるようになってきている。
本当に頼もしい。
自粛期間中の取り組みがここまで継続していることは本当に凄い。
既に来年が楽しみで仕方ない。
最後に、
君たちを「主人公」だとするならば、果たして本当にそう思えるだろうか。
情熱を燃やし続けているだろうか。
恵まれない選手だったとしても、たった1つでも誰にも負けない長所はあるだろうか。
何度負けてもへこたれずに立ち向かっているだろうか。
我武者羅にやるだけでなく、考えて努力しているだろうか。
土壇場で踏ん張る力を持っているだろうか。
ぐしゃぐしゃになりながら努力しているだろうか。
どん底の日々でも、1歩踏み出すだろうか。
厳しいことを言っているだろうか?
ある人には当然厳しいだろう。
でもある人にはこんなこと当たり前の話だ。
今上手くいっている人はそのまま頑張れ。
どこかできっと壁は現れるだろうが、それも乗り越えられるはず。
そうでない人はきっとここからが本当の頑張り時だ。
成果が出るか出ないかなんて分からないが、こんなとこで限界を決めるキミじゃないと思う。
みんなが思っているより、色んな人に宛てて、思い浮かべて書いています。
どうか、届いてください。
早稲田大学ラクロス部に捧げる4年間にはとてつもない価値がある。
人それぞれ、十人十色の価値がある。
みんなにはそれを見つけて欲しい。
そうやってこの部活はどんどん強くなっていける。
早稲田でラクロスをしている事に感謝の気持ちを忘れず、自信を持って、
勝負の世界を、そして何より勝利を、これからももっと味わってください。
大好きな同期へ、
俺の口うるさい感じはコロナ禍では良い方に作用したか、悪い方に作用したか分かりません。
みんなが俺の目線を気にするようになったのは、寂しいけど仕方がないと思った。
昨日、Bチームが優勝した時、飛び出して行きたいのをぐっと堪えてくれてありがとう。(最後は何人か我慢出来なくなってたけど)
そりゃあ嬉しいよね。嬉しいもん。4年目にして丸田組初優勝だよ。
俺だってめちゃくちゃ感動した。
無冠の代って揶揄され続けて、みんなそれぞれ思う所がずっとあったと思う。
こんなラストイヤーだったけど、ここまでコロナ陽性者ゼロで乗り越えられたのも、
みんなの魂がそれぞれのチームに波及したからだと思うよ。
明日の試合、絶対に勝とう。
本当に同期のみんなが大好きです。これからもよろしく!
同期、後輩たち、
監督、コーチの方々。
明日、遂にAチーム最後の試合。
Bの勢いに乗って、勝利を掴みましょう。
1点ずつ、1点ずつ。
仲間を信じて。
真
AT#24 小林大祐