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2024

〜巧より強たれ〜『破顔必勝』船田遼修

シーズン初め。

コーチ陣でチーム方針を決めた。

 


「勝って笑おう」

 


全員で最後の試合に勝ってグラウンドに入り乱れる。

その最高の瞬間のために、全ての練習、全てのミーティング、その他全ての瞬間はある。その瞬間のために、選手もスタッフもコーチも全員でラクロスを楽しみ、本気で向き合おう。そんな思いを込めた言葉だった。

 


昨年、井原組のサマーに帯同させてもらった時に強く感じたこの気持ち。


優勝して喜んでいる皆を見て、

あの瞬間を味わうために、全員で喜びを分かち合うためにラクロスをやっているんだなと思えた。

その最高の瞬間のために、全てをかけよう。そう思って臨んだシーズンだった。



 

だからこそ、一生忘れない、あの場所と時間。

夏。

2024年9月4日。フクダ電子フィールド。

準決勝、サドン敗北。

 


気づいたら、地面に膝をついていた。相手のショットがネットに吸い込まれた瞬間。

 

あんなにサマーに向けて準備してきた皆が泣いていた。誰にも負けないほど練習していた、平山が、黒田が泣いていた。チームを引っ張っていた大河原が、地曳が泣いていた。

 



そして、服部が泣いていた。

 


練習試合負けなしだったチームが初めて負けた。意味が分からなかった。なんであれだけ頑張ってた皆が涙を流してんのか。なんで、俺も服部も泣いてんのか。なんで北村は泣いてる俺らを励ましてんのか。

 


あの試合は今でも見返せてない。

 


帰りの車で服部と二人。夜の首都高、半年を振り返った。

あいつらマジうまくなったよなとか、いやあ勝てると思ったんだけどなとか。

会話はいつも通り一年生の話。ただ、何を話しても、虚しくて、もやもやしてた。いつもなら馬鹿みたいに笑い合ってるはずなのに。

一年の半分が終わったという事実。そして、それが否定されたような空虚さ。もう3か月したらウィンターがやってくる。二度と負けたくないという焦燥感。

 

 



そこからしばらくは空回りだった。

何かにつけて緩さを正さなければと思ってた。もっと頑張ってほしい、自分からできることを増やしてほしいと思うがあまりに、選手にも、スタッフにもかなり厳しいことも言った。何かを変えないとって、ふとした時にサマー負けたことが頭をよぎって。

 

ラクロスを楽しむなんてこと完全に忘れていた。

 

でも秋、学年MTGで互いの気持ちを聞いて、チームが少しずつ変わっていった。

 

涙ながらに皆で勝ちたいと言ってくれた奴。自分の立ち位置が悔しいと言ってた奴。本気でチームのために頑張りたいと言ってくれた奴。学生コーチのために勝ちたいと言ってくれた奴。いままでの自分を捨ててチームのために動きたいと言った奴。

 


お互いの思いを、本気を、ぶつけあって、チームの雰囲気が変わった。

それ以来自分なりに努力する皆を見て、本当に頼もしかった。

 


一年生チームのために何かできることはないですかと聞いてくれた子、数々の新しい提案をして実行まで移してしまう子。円陣に交じって声を出す子。スタッフの熱意がはっきりと見えた瞬間はチームが本当に変わってるんだなと実感できた。

 



ここ1,2か月は皆の本気さが伝わってきて、毎日、嬉しかった、めちゃくちゃ楽しかった。

 

 


ここまで書いて改めて思う。


この一年間がどれだけ幸せだったか。


春、みんなとあった日を昨日のことのように覚えている。初めて出会う部活に苦戦しながらも頑張る一年生。

皆と一緒に練習して、ウェイトして、何時間もミーティングして、日が沈んでも自主練して、たまに一緒に飯食って、くだらないこと話して。


 

最初は何もかもが下手だった皆が、どんどん成長していく。

全くつながらなかったパスがボックスにつながるようになって、拾えなかったグラボが一発で拾えて、決まらなかったシュートが四隅に決まるようになって。ついには教えてないことまで出来るようになって。


何度、服部と二人で、こいつら上手すぎねと笑いあったことか。


どんどん上手くなって、楽しそうにラクロスをする皆を見れて、どれだけ嬉しかったことか。


毎日の練習が、毎回のミーティングが、毎試合が、合宿が、みんなと過ごした時間がどれほど楽しくて充実した時間だったか。

 



去年、何もかもが上手くいかな過ぎて退部まで考えた俺には、想像できないほどの充実した一年間だった。


みんなに部活に本気で向き合ってほしい。ラクロスを本気で楽しんでほしい。そう思って一年間やってた。

 


 

 

けど、一番楽しんでいたのは間違いなく俺と服部です。

 

 



 

本当にありがとう。

 

 




 

だから、


俺らは明日勝つ。


全員で喜んで、一年を終えるために。共に過ごした一年間の全てをぶつけて。




 

笑顔で終わろう。




 

 

DF・G陣

よくここまでついてきてくれた。チームが苦しいときこそ君たちの出番。

大丈夫、前には服部が育てたMFとATがいる。

明日も前に、前に行こう。

 

 

奥さん、秋山さん、八重さん

皆さんの熱意が何度自分を、チームを奮い立たせたかわかりません。

明日も熱すぎる言葉をお願いします。

共に借りを返しに行きましょう。

 

 

服部

学生コーチ決めが難航したシーズン初め。

服部がもう一人の学生コーチと聞いて正直、不安が勝りました。

でも考えすぎたり、まじめすぎる俺と反対に、時に楽観的で、ユーモアがありすぎる君に何度も助けられました。

 

サマー負けた時、お前が横で泣いているのを見て、本気でお前と一緒にウィンター勝ちたいと思った。いつも一緒に笑ってるお前と、最後も一緒に笑いたいと思った。

 

一年間、横にいてくれたのがお前で本当によかった。

明日も隣は頼むよ、将也。

 

 




 

三年前、今の4年が優勝して以来のウィンター奪還へ。




「土」の大宮けんぽ。動きにくいかもしれない。グラボが取りにくいかもしれない。

 







でも大丈夫、俺と服部がついてる。

 








同期の選手が、スタッフが、社会人コーチが、上級生がいてくれる。

 





 

いつも通り、まずは切り替えとグラボ。 






 

皆でチームのために尽くしきろう。

 






そして、最後には勝って笑おう。







 

皆で、一つに。





学生コーチ 

#82 船田遼修

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