「これだ」という確信があったわけではない
ただ、ハセさんが学院ラグビー部で唯一僕だけ誘ってくれなかったので参加してみた体験会で、浅見さんと夏飛人さんにおだてられてなんとなく入部を決意しただけだった
だからか同じ役職の宮脇さんやジュニさん、ハセさんのようなエリート街道を歩むことはできなかった
いつも自分の挑戦は悔しかった瞬間から始まった
最初は樫尾に左手のシュートがへたくそだと馬鹿にされたとき
とことん左手でシュートを練習しようと思った
ボールアップの時も左手でクレードルを入れて練習した
気づけば今自分の最大の武器になっている、樫尾くんありがとう
二年でジュニさんに「今年はOFでAは無理だよ」と言われたとき
絶対にOFでAに上がろうと思った
とにかく、何か強みが必要だと思ってシュートを練習しまくった
ミーティングが終わった後、15時まで空いているサッカー場で一人ショットを打ち続けた
そしたらたまたまATになったタイミングで現Freshmanコーチの八重倉さんがケガをしてAチームの練習に参加できた
そこでさらに幸運なことにDFリーダーだった阿曽さんをすこ抜きしたおかげでAチームに上がることができた
あこがれだったAチームは厳しさがありながらもラクロスを楽しんでいて、モチベーションが悔しさだけでなく、ラクロスを楽しみたいというものになっていった。
そこからは喜んで、悔しくなっての繰り返しだった
Bリーグ決勝で一秒も出れなくて、打ち上げもいかず、翌日伏見に練習に行ったとき
六大学戦の東大戦で初めて点を取って自分のプレースタイルを確立したとき
早慶戦で二点取ったけど大敗したとき
リーグ戦の東大戦、残り15秒で逆転したとき
リーグ戦ですらこんなに嬉しいんだから日本一になったときはどんな気持ちなのだろうかと心を躍らせた
その次の明治戦、自分の不甲斐ないプレーで4年生を引退させてしまったとき
もう、こんな思いはしないと強く誓った
迎えたラストイヤー
チームの中心としてどうすれば勝てるか
どうすれば日本一になれるかを考えていたつもりだ
日本一の景色を見るために
これまで以上にショットを練習して
ラクロスを見て
ウエイトをして
時には好きな選手のクロスを真似しようといきなりDMしてみたりもした
しかし、ある日から突然飯が食えなくなった
12月には80㎏あった体重も
気づけば73㎏
ウエイトの重量も下がってしまい
接点も自分で感じ取れるほどに弱くなっていた
メンタルもどんどんへこんでいって
もういいかなとも思ったりした
それでもあきらめなかったのは
日本一を目指してきた先輩やともに日本一を目指す仲間のおかげだ
平野組や齋藤組、振り返ればもっと前から、本気で日本一を目指してきた環境があるからこそ、今当たり前に日本一を目指すことができている
それなのに自分が勝手にあきらめるわけにはいかないと、多くの「巧より強たれ」を読んで自分を奮い立たせていました
そして当然のようにひたむきに努力する同期、後輩がいて、その姿にエネルギーをもらっていました
ここでは書ききれないほど頼りになるチームメイトばかり
不甲斐ないMFリーダーで申し訳ない
また、当たり前にラクロスができる歓びも強く感じることができるようになった
大学は本来勉強をする場所だ
入りたくたっていろいろな事情で入れない人だっている
学費だってとてつもなく高い
それなのに大学生活の大半をラクロスに捧げている
とてつもなく贅沢なことだ
だからこそ、そこに妥協は許されないと思う
何もかもが当たり前じゃないことを自覚して過ごしてきた
そうして迎えたリーグ戦
初戦武蔵と引き分け
また慶應に負け
上手くいかないことばかりだ
それでも、今まだ日本一の景色を目指すことができる
これほど最高なことはない
弱い自分だけではここまで来ることはできなかったと思う
監督、コーチ陣、先輩、同期、後輩、両親などすべての人のおかげで今の自分があります
本当にありがとうございます
迷惑ばかりかけてしまいましたが、必ず日本一という結果で恩返しさせてください
ついにきた憧れの舞台
相手は全勝で乗りに乗ってる明学
最強世代だった秋山組、後藤組でOFコーチを務めた荻原HCが今まで見た中で一番うまいと評する小峰だけじゃなく組織としてかなり完成度の高いチーム
多くの人が明学が勝つと思っているだろう
しかし、いつだってそうだった
色んな人にばかにされたり無理だと言われてもそれをはねのけてきた
低い所から這い上がってきた
Low to High
自分の大好きなプレーで自分を表すのにぴったりな言葉
2年前スカウティングで逆キーと書かれた個人的な思いもある
かならず、明学DFを、会場や配信で見ている人を見返そう
そしてなにより、
日本一を目指して散った先輩
ボックスに入れなくても大声で応援してくれる仲間たち
予選で苦しい戦いを強いられた相手校
など数えきれないほど多くの人たちの想いがある
俺たちはそのすべての想いを背負って戦っている
この想いが、伝統が俺たちを絶対に助けてくれる
だから、今、ここで自分にできる最大限のプレーをしよう
そしてもう二度ない舞台を最高に楽しもう
俺たちなら絶対に勝てる
勝って笑おう
軌
AT/MF #10 森田翔吾