『#3』
数々の偉大なFOの先輩方がつけてきた番号である。
自分にはそれをつける技量も器も足りない。
それでも自分に見合う番号にするために、その技量と自信をつけるために、この一年間過ごしてきた。
しかし現実はそう甘くはなかった。
4年になるまで別に対して努力したわけでもない。4年になるまでにAに上がったことすらない。ただ同期にFOが自分しかいなかっただけ。そんな甘い理由でFOリーダーになった自分がそんな簡単にうまくいくはずはなかった。
FOが敗因の原因であったといっても過言ではない早慶戦。
手も足も出なかった関西遠征の阪大戦。
ただボックスから後輩を送り出すことしかできなかったリーグ戦の東大戦。
FOの存在価値を問われたコーチ幹部ポジリミーティング。
サドンの一本目を任されなかった関東FINAL。
描いていた理想の自分とは程遠い姿に失望し悲しみと怒りが込み上げてきた。情けなかった。
それでもその都度、試行錯誤を繰り返し現実の自分と向き合った。
練習前夜に家でFOの動画を見漁り実践して得た良い感覚、気づき。
これらを持ちこんで毎朝、東伏見に向かう。だいたいは上手くいかないことが多い。
勝てずに、もがき苦しむ。
そしてまたその課題を持ち帰り再考する。こんな日々が一年間続いた。
苦しいし逃げ出したい、辞めてやりたいなんて思う時もあった気がする。
しかしこの「もがき」が自分を人間として強くさせたと感じる。
FOはメンタルゲーである。カズさんが「功より強たれ」で自分に残してくれた言葉。
Final4、Finalを経験してより実感する。
当たり前だが強いメンタルは絶対的な自信からくるものである。
グラウンドの中央に立つあの瞬間で誰よりも勝つ自信をもった者が強い。
その自信を、メンタルをつけるには、日頃の弱い自分に打ち勝つ必要がある。
そのために、もがいて、もがいて、もがく。
自分が納得するまで、もがき続ける。
先が明るくなかったとしても、センスのない自分にはそうするしかないと覚悟をきめた。
周りからは自信がなく見えるかもしれないが、
今シーズン幾度となく現れた弱い自分、そんな自分に打ち勝ってきた自負はある。
いろんな感情が自分を襲い、それらを跳ね返してきた。
そして最後は自分自身を信じて戦うしかないのだと学んだ。
こんな自分がここまでやってこれたのもチーム内のサポートがあってのことだと思う。
周りの環境が恵まれているからこそ自分を信じれる心が生まれた。
スタッフ陣
MG、TR、AS役職関係なく全員が笛を吹いてくれて感謝してます。スタッフの人数不足のなか本当にありがとう。
コーチの皆さん
特に半場さんとカズさんにはこの一年大変お世話になりました。
半場さんからはFO後のフィールド技術を、カズさんからはFOの技術を多く学ばせていただきました。
本当にありがとうございました。
感謝は短く、あとは結果で恩返しします。
同期
練習前に早く来てショット練していたり、練習後に壁あて、ウエイトをほぼ毎日してる姿は自分が頑張ろうと思える存在です。真面目で努力家の多い同期に恵まれて幸せです。
みんなと日本一になりたいと切実に思います。
あと3試合勝って野澤組を日本一の、永遠と語り継がれる代にしたいです。
FOの後輩たち
こんな不甲斐ないFOリーダーで申し訳ない。
それでもついてきてくれて感謝しかないです。
特に自分から何か教えられることはあまりなかったけど、
一つだけ伝えるとするならば、とことん自分と向き合ってください。
どんなに勝てなくても、対人で指が痛くてきつい時も、成長曲線がとまりFOが嫌いになりそうな時も、理想とする自分の姿を思い浮かべ自分が納得するまで向き合ってみてください。なにか得るものがあるはずだから。
個性豊かなみんなとFOができてよかったです。ありがとう。
そして富田
ここまで一緒に戦ってくれてありがとう。ときにはアドバイスもくれる頼もしい後輩です。
良き戦友として日本一まであと少し頼みます。
来年は無双してください。応援してる。
正直まだ試合前はめちゃくちゃ緊張するし、体はだるいし、やりたくないと思うこともある。ましてや引退のかかった試合なんて特にそう。
でもそんな自分とは裏腹に、
全身全霊をかけて声をだし応援してくれる部員、家族、友人がスタンドにいて、
早稲田の誇りを胸に戦い生まれる高揚感がいつからか好きになっていた。
ネガティブな感情とポジティブな感情
いろんな感情がごっちゃになりながらも
今まで積み上げてきた自信を力に変え
自分を信じてグランドの中央に向かうあの瞬間をまだ味わいたいから
まだまだこの先の景色を見てみたいから
明日も
その次も
そして全学決勝も勝つ。
自分と仲間を信じてあとはやるだけ。
いざ出陣。
VECTOR
FO(#3)多田倫太郎

