「なんでラクロスやってるの?」
大学の知り合いや地元の友達からこの手の質問を振られるたびに、ちゃんと答えることができなかった。
ずっと苦しかった。
純粋な実力不足から試合に出られない日々が続いて、
いつの間にかモチベーションを失っていた。
努力する機会はいくらでもあったはずなのに、
気がつけば楽な方へ楽な方へと逃げていた。
去年や一昨年の育成決勝でも、ボックスから懸命に声を出しながら、
心の底では熱くなれない自分がいた。
優勝して、感情を爆発させているチームメイトが羨ましかったし、
何より素直に喜べない自分が情けなかった。
俺はなんでラクロスを続けてるんだ?
わからなかった。
ラクロスを続けてきた理由が欲しかった。
だから8月にロング転向の打診を受けた時、転向を決めた。
自分勝手かもしれないけど、出場機会を増やして、育成リーグのグラウンドに1秒でも長くいることで、
自分がラクロスを続けてきた意味や意義のようなものを知ることができるかもしれないと思った。
今、ラクロスが4年間で1番楽しい。
ショートを持っていた頃よりもめちゃくちゃボールを落とすようになったし、自分のせいで失点することも増えた。
だけどめちゃくちゃ楽しい。
以前より深くチームに関われていると断言できる。
俺がエキストラに入るなんて夢にも思わなかった。
明日は育成の初戦だ。
今年のCはいいチームだと思う。
全員が自分の役目を持って試合に臨んでいるし、
雰囲気も始動の頃に比べて見違えるほど良くなった。
失うもの失ってまで続けたラクロスで、
何も得ることができないなんて、そんなのあり得ない。
勝って勝って勝ちまくって、
クソ生意気な後輩と
最強の同期と、
最高の感情に浸ってやる。
真
DF(#81) 中嶋笙太郎
WRITER:富沢美結