今までに勝ててこんなに嬉しかったことはあるだろうか。
負けてこんなに悔しかったことはあるだろうか。
ラクロスに出会うまで、一度だってこんな気持ちになったことはなかった。
高校まで色々なスポーツを経験してきた。勿論、勝ったら嬉しいし、負けたらそれなりに悔しかった。だけど自分の中で何か物足りなかった。
「俺がいなくても勝てたんじゃないか。」
どんなスポーツをしていてもこんなことばっかり考えていた。
だからラクロスを始めた時は、今度こそチームに必要とされたい、
みんなと心の底から色んな感情を共有するんだ、
と未来予想図を勝手に描いていた。
でも現実はそう甘くなかった。
入部した時期が遅かったこともあるが、
一年の合宿ではみんながサマー優勝に向けて練習に励んでいる中、
隅っこの方で基礎メニュー。
サマーはβのベンチで立ってるだけ、ウィンターはγとして出場するも予選敗退。
早稲田としては共に優勝し同期が喜んでいる中、
何もしていない自分は喜んでいるフリをしているだけ。
二年は同期がAやBの試合で活躍する中で、自分はスタンドで応援しているだけ。
気づかないうちにまた同じことを繰り返している自分が情けなくて嫌になった。
変われるチャンスなんていっぱいあったのに。何度も与えられていたのに。
三年になってからはやっとBで試合に出られる機会が多くなった。
しかし、慶応に勝つことができず、日本一を逃してしまった。
あんなに悔しい思いをしたのは初めてだった。
今思えばあの時が初めて自分の中で何かが変わった瞬間だったのかもしれない。
試合に出るということは、勝つための努力を常にし続ける責任がある
ということに気づかされ、
そして日本一を獲ることの難しさを心から痛感させられた。
だからこそ、絶対に日本一になりたいと思えるようになったのだと思う。
今年は「CHANGE」というスローガンを掲げ、
部員一人一人日本一に貢献するために変わろうとしている。
自分の何が変わったかと言われれば、今はまだわからない、というのが正直な答えだ。
が、一つだけ確信を持って言えることがある。
それは先日のBリーグfinal4慶應戦での勝利に貢献できたこと。
昨年二回も負けた相手に圧勝できて嬉しかったし、
そして何よりチームに必要とされているのが本当に嬉しかった。
もちろん自分自身が今まで感じてきた物足りなさは全くなかった。
しかし、日本一になることはできなかった。
夏からの少しの間だったが、やっぱりこのチームで何としても日本一を獲りたかったし、
みんなともっと勝利したときの喜びを分かち合いたかった。
勝って、Bチームをまとめてくれた桂基を嬉し泣きさせたかった。
幸いにも今Aチームにいさせてもらっている。
皆の勝利に貢献できる最後のチャンスだ。負けられない。
まだラクロスがしたい。まだ引退したくない。心からそう思っている。
そう思えるのはやはり同期の存在が大きい。
ラストシーズン、日本一になるために貢献したいと
アナライジングスタッフやマネージャー、学生コーチに転向する覚悟は
自分には持ち合わせていなかった。
俺はそんなやつらを尊敬しているし、感謝している。
そして何よりも、秋山がこの部活を、自分のラクロスに対する接し方や考え方を、変えてくれた。
こんなに覚悟を決めた最高な同期がいる早稲田が日本一取れないわけがない。
明後日は慶應戦。背負えるもの全部背負って戦おう。
選手がプレーだけに集中できるように最高の環境を作ってくれるマネージャー。
選手がコンディション良くプレーできるように
アップやテーピングをしてくれるトレーナー。
そして、スタンドで応援してくれているラクロスに悩んでいる後輩たちや
四年でベンチ入りできなかった皆の想いも全部背負って戦う。
その為には、もしチャンスがもらえたなら一つ一つのプレーに気持ちを込める。
普段の俺を見れば泥臭いなんて言葉、程遠いかもしれない。
自分でもそういうことが苦手だと思っていた。
でもそんなのチームの勝利のためなら関係ない。
グラボが起きたら全力で寄り、失点を防げるならシュートの盾になる。
そのプレーが一つでも多くオフェンスの機会を増やし、一点に結びつく。
これが俺なりの、チームに対する在るべき姿だと思う。
そして最後に江戸陸でFALCONSに勝つべきなのは俺たちだ。
大丈夫。
早稲田なら、秋山組なら、絶対に勝てる。
勝って紺碧を江戸陸に響かせて、まだ流したことのない嬉し涙を流したい。
CHANGE
DF #17 荒井勇希