先輩方が引退した11月。新体制決めのミーティングが始まった。
その時、実感した。
自分は何もしてきていないということ。
全日本選手権優勝という目標を掲げるチームに対してどう貢献すれば良いかわからなかった。
自分はBチームにも定着したことがない。だから、Bリーグやプレで優勝を目指したこともなければ、Aチームの練習相手をしたこともない。正直、Aチームは別世界だった。
責任が自分にあるのはわかっていた。
悔しいという気持ちはなく、不甲斐ない、申し訳ないという気持ちばかりだった。
新体制では、同期の中でコーチやスタッフに転向する人が必要だとわかった。
自分がスタッフ転向を決断するのに時間はかからなかった。
12月1日、選手をやめるからチーム選考の対象から外してほしいと秋山に連絡した。
幹部と話し合い始めてから1週間くらいのことだ。
それまでAT、MF、DFと3つのポジションを経験してきた。どうにかして選手として活躍したいと思っていた。選手をやめる気なんてなかった。
それなのに結果を残してこなかった自分が選手をやめるのが妥当だと思ってしまった。
驚くくらい冷静だった。
自分がAチームで活躍することはイメージできなかった。その時点で選手にこだわる理由がなくなった。
選手をやめるという選択肢が見えた時点で、選手にこだわりを持つ選手には勝てないと思った。
この決断が正解かどうかはわからない。あまりにもあっさりしていた。
それでも、悔しいと思う時はある。
一緒にプレーしていた仲間が活躍した時、負けた時。
自分がフィールドにいたら何をできたのだろう?そもそもフィールドにいることができたのだろうか?
よく考える。
プレーで貢献できないのは本当に悔しいし、その時に自分が選手ではないことを改めて実感する。
アナライジングスタッフ(AS、専任スカ)になったのは、2月。
選手をやめる決断はすぐにできたが、ここには時間がかかった。
学生コーチになることも真剣に考えた。
それまでASという役職は存在していなかった。
不安もあった。
それでもAチームに分析側から携わりたいと思った。
同期と一緒に日本一に対して真剣に向き合いたいと思った。
その時になって日本一を目指したいと思って入部した頃の気持ちに立ち返ったのだった。
ASに転向してから、9ヶ月が経った。
今でもASになって良かったかはわかっていない。
やりがいはあるし、3年生までよりもチームに貢献できている自覚もある。
しかし、まだ何も成し遂げていない。
それは今年が終わってからわかることなのだろう。
これまでのラクロス生活を振り返ると感謝している人がたくさんいる。
熱心に指導をしてくださった先輩方。
何もできない自分にいろいろ聞いてきてくれたり、一緒にプレーしてくれたりした後輩。
何より、同期。
ASとして今日本一を目指せていること。
そもそも前例のないASという役職をやらせてくれたこと。
今日まで一緒に頑張らせてくれたこと。
感謝しきれないくらい感謝している。
最後に、何も定まっていない専任スカに入ってチームに貢献したいと言ってくれた健作、啓介、承、小宮。そして選手兼任のスカウティングリーダーとして今まで一緒にやってきて最近専任になった宇野。
専任スカのリーダーとしての頼り甲斐はない。また厳しいことを言うかもしれない。でもこれからもよろしく。当たり前だけど、すごい頼りにしている。
後輩へ
偉そうかもしれないが聞いてほしい。
①去年までの自分のようにはなって欲しくない。
目標を見失っているなら、入部した時のことを思い出せば良いと思う。
自分なりの思いがあったはずだ。
②今を大切に。
過去は変わらない。
できるのは今から頑張ること。
過去の積み重ねが今。
今はすぐに過去になる。
今の積み重ねが大切。
③自分が最も輝ける方法を見つけてほしい
もちろん、選手の人は選手として輝くのが一番だろう。
しかし、それだけではないことを覚えておいてほしい。
自分のように、少し違った形での貢献の仕方もあるよ。
正解は人それぞれ。
日本一に向けて
11月11日に関東FINALがあるがその前に一言言っておく。
翌日、11月12日のCの育成リーグの決勝も忘れないでほしい。
Cチームの4年生の正真正銘の最終戦。
大切な仲間が引退する。
下級生の育成に力を注ぐ決断をした仲間がいることを忘れたくはないし、忘れて欲しくない。
さて、改めて明後日11月11日は関東FINAL。相手は慶應。
まずは勝つこと!!
でも、俺たちの目標はもっと先にあるよね。
今年のチームは本気で全日本選手権優勝を獲れるチームだと思っている。
12月17日、このチームで良かったとみんなが思える日。
そんな日が来ることを楽しみにしている。
CHANGE
AS 土本達也