早朝の誰もいない電車に揺られながら、大学生活を彩った様々な事を思い出す。
オフに旅行に行ったり、たくさんお酒を飲んだり、デートしてみたり。
色んな事があった。
でも、長いようで短いこの4年間に一番色をつけてくれたのは
常識的に考えておかしい時間に繰り出されるおはようの数々と、
毎日鬱陶しいほど見せられてきた、みんなの顔面。
特に最後の1年を共にした愛おしい後輩たちの顔は、いつだって笑顔が思い出される。
明日の試合が終わったら、当たり前の様に毎日流したメーリスも、当たり前の様に会う毎日も無くなってしまうのが少しこわい。
引退後の色の無い生活を想像するだけで、既にブルーになってしまいそうだ。
そのくらい、俺にしては珍しい。
心の底から楽しいと思える鮮やかな日々だった。
そんな今年の俺はみんなにどんな風に見えてたかな。
Cという難しいチームを率いながら、よく考えていた。
自分が下級生だった時、各年リーダーだった人の記憶はすごいある。
どんな人がどんな事を言ってどんなチームを作っていたか。
青木組の人望がすごかったリーダー。
丸田組Bの情熱的なリーダー、Cの優しいリーダー。
平野組の明るく元気なリーダー。
自分がそこに名を連ねる事は責任が大きすぎる。
それでも、自分が下級生の時に受け取った物を繋ぐため、奮闘した。
正直、3年生までの俺は人の上に立てる様な過ごし方はしていない。
振り返っても、ちょっとしか出てこない。
1年生。
サマーはβの1stで尾崎と喧嘩ばっかり。
ウィンターはフリーシューの肉壁。
序列を一気に上げ、順調に迎えるはずだったあすなろ大会はコロナで中止。
2.3年生
もはや書く事もあまり無い。眺めてるだけで全てが終わっていた。
そんな3年間をしていた俺でも1年間リーダーとして立ち続けられたのは、紛れもなく可愛い後輩たちのおかげです。
6on6でDFなのにOF始めたり、一生オフサイドしたり、人間的にどうなんでしょうかと思う場面が沢山あったり。
部員として完全に赤点のやつ多すぎだけど、優しくて情熱あるいいやつが集まった。
みんなの事が好きで、みんなのために全うしようと心から思えた。
本当にありがとう。
そんな俺がリーダーをやるから、絶対に譲らなかった事がある。
それは明日も譲らない。
自分の活躍で勝つかもしれない、自分のせいで負けるかもしれない。
その責任と期待を全員が背負うチームにすること。
見ているだけで全てが終わるあのなんとも言えない感覚を、後輩には味わってほしくくないと心から思った。
1人1人のラクロス人生を乗せる船の舵取りとして、
全員がチームに貢献していると感じてほしい。
今年1年頑張って良かったって思って欲しい。
来年ももっと頑張ろうって思ってほしい。
心からそう思う。
全員が主役。
怪我しててちょっとしか出れないやつも、最近調子悪そうなやつも、試合前に捻挫するアホたれちゃんも。全員、漏れなく。
1人も欠けちゃいけない。
みんなの力が必要だから、
明日も俺ららしく。全員で勝ちに行こう。
そんな重すぎるかもしれない愛情を注ぎ続けたCチームでの日々は、漫画みたいだったなって思う。
初戦まで一回も勝てない噛み合わなさ。
何考えてるか、何喋ってるかほんとによくわからん宇宙人2年生達。
このままチームが爆散するのかななんてちょっと思った。
でも、改善点しかなくて、上達しかない日々がすごく楽しかった。
登場人物も色とりどり。
1on1にステータス全振りして人間性どこかに置いてきたやつ
だんだん心開いてくれて笑顔も増えたのにDFリーダーとの勝負に敗れて戦線を離脱するやつ
多重遅刻により参戦、めっちゃいい子になって大活躍したけど留学でチームを去る爽やかイケメン大エース
名前にカタカナ入ってて日本語めっちゃ下手なのに海外歴1年くらいの変なやつ
絶対に関西弁ブらさない金色クロス
韓国軍出身の巨漢
面白そうでしょ。
まだまだ、書ききれない程へんなのが沢山いる。
おまけに相方は病的におちゃらける色盲。
楽しくない訳がない。
このあまりにも濃く、色彩豊かな日々は
偶然か必然か分からないけど、
一人一人の人生で、幾つもあったであろう選択の先に出来た奇跡みたいな物。
生まれ変わったらキレキレのATとかになってみたかったりもするが、この日々は手放せない。
人生もう一回やり直しても、ラクロス部に入り、
きっとまたまーちゃんと一緒に同じチームを作る。
混戦グラボから毎回生還するなおやも
無計画な運転をする長島も
バカ部屋のチャンバラも、また見たい。
1kgを1万gだと思ってた宮野や
なぜか救急車対応を完璧に出来るもはや怖い域に入って来た石田、
外し続けたショットの確率が収束に向かってる佐々木にも、また会いたい。
きっとそう。
今までみんなが見せてくれた全てをもう一度見に
ここに戻ってくる。
本当に楽しかった。ありがとうな。
どんなに素晴らしい漫画にも、最期は来てしまう。
明日、齋藤組Cチーム最終章。
駆けつけてくれるみんなや、遠くで見てる1年生、仕事してるスタッフ、お世話になったコーチの方々も。みんなに囲まれて、
このかけがえのない4年間に最後の色づけ。
いろんな色を持ち合わせてる俺とまーちゃんでも、
2人だけじゃ足せない最後の一色。
紺碧を
4年間を彩った全ての人と共に。
PUMP
DF #25 菅野壮介