「体育会にはいるの?続いて半年だな」
大学1年の春、高校時代の友人からそう言われたが、気付けば早いものでもう4年の秋だ。
体育会には向いてないと言われた自分がまだ引退したくないと心から思っている。
この最高学年ために、いままで三年間努力を重ねてきた。
私のポジションは基本的にベンチ。私ほどベンチを温めたプレイヤーもいないだろう。
肝心な試合、大事な試合はいつもベンチだった。出られない試合の日に、楽な一日だったといって誤魔化したが悔しくて情けなくて仕方なかった。
二年の時のBリーグ全日FINALも、三年の時の関東FINAL4も私は試合に出られなかった。たぶん、いてもいなくてもいい存在だった。
しかしベンチであっても自分の実力より高い水準のチームになんとか入ることにこだわった。そしてチーム内で最下位のという立ち位置で、怒鳴られることも多い日々の練習を全力で消化し、その集大成である公式戦出場は達成できないという二年間を送った。
試合にでて自らの力で勝利を勝ち取る日を当然期待したが、裏切られてきた。いつもシーズンが終わる冬は無力感が残った。自分の実力不足以外原因はなく、だからこそ悔しかった。悔しいという言葉で終わらせたくないくらい悔しかった。
だがそれでいい。ひどく悔しかったがベンチを温める日々でよかった。
最大限頑張ってもベンチになってしまうほど高いレベルのチームに食い込み、練習することで、最後、自分たちの代で、日本一になるための戦力となれると信じているからだ。
自分より上手いプレイヤーしかいない環境での経験と味わった悔しさは今の私のすべての血肉となっている。いわば自分らの代で優勝するための3年だった。
最後四人だけでフィードシューの練習をしたCの練習や
雨と強風で凍死しかけた春合宿、
「おまえが試合でてると不安なんだよ」と先輩に言われたこととか
上げたらきりがない辛かったことはすべて、四年で試合に出て活躍するためだと自分に言い聞かせなんとか耐えてきた。
そしていま、私は試合に出してもらっている。
多くの部員を代表して試合に出ている我々は勝利する責任がある。
もう負けは嫌というほど味わってきた。情けない感じも無力感も味わいまくってきた。
引退の日に何一つ後悔しないように今日も自分のできる最大限をしたいと思う。
プレイヤーをあきらめざるを得なかった同期のためにも
様々なサポートで最高の環境を提供してくれるMG、TRのためにも
応援をしてくれている人たちのためにも
何よりも自分たちのために
全チームこれから先の負けは認められない。
全日優勝して谷間世代の汚名を返上しよう。
常に周囲と競争し続けてきて、努力を続けてベンチを温め続けた三年間をあと二か月半にぶつける。今一番頑張らないと絶対引退の日に後悔する。一瞬のプレーにも三年分の想いを込める。負けたら引退という試合の日々がこれから始まる。私は今、最高に滾っている。
DF #16 大橋祐次郎